2019.11.21
新興企業の事業・財務等に関するアドバイザリー

【企業について】
<業種> 革製品製造業
<業歴> 1年
<概要>

  • 財布やバッグの革製品を製造。起業したばかりで現状は知合いの小売店を中心に卸しているが、TwitterやFacebook等のSNSを使ったマーケティングも取入れている。
  • セミオーダー等の「少量多品種」製品が得意。
  • OEMも考えているが、将来的には自社ブランドを立ち上げたい。
  • 現状、社員数が少なく製造以外の仕事になかなか手が回らない。

【課題】
① 仕入は小ロットで、仕入先もバラバラになりがち。仕入コストの低減が難しい。 ⇒ コスト
② エクセルで売上の管理(売上額、仕入額、顧客名等)をしているが効果的に使えない。入出金管理が杜撰で、資金ショートしそうになることも。 ⇒ 財務管理
③ 必要な業務量が確保できていないが、社員雇用には資金不足。 ⇒ 業務量確保
④ SNSマーケティングがなかなか効果が上がらず、売上が増えない。 ⇒ 販路拡大

【原因】
① コスト ⇒ 製品へのこだわりが強く、貴重な革(ガルーシャやクロコダイル等)を使った製品が多い。
② 財務管理 ⇒ もともと「売上が増えれば良い」との考え方で、資金繰りや利益率を軽視。職人気質で「お金」や「パソコン」が苦手。
③ 業務量確保 ⇒ 気に入った職人を確保するため、売上や利益に見合わない給与で採用しており、他に必要なスタッフを十分に確保できない。
④ 販路拡大 ⇒ SNS広告への依存度が高い。

【解決策】
① コスト

  • 低コスト商品のラインナップを追加。利益率、利益額を増やして、まずは業務継続に必要な資金を確保。その後、ガルーシャ等の希少商品を取扱う。
  • 低コスト商品の仕入れは「都度購入」をやめて、ディスカウントの利く仕入先から「予め購入」してストック。
  • 低コストでも素材の「組合わせ」等により付加価値を高める。

②財務管理

  • 財務状況の把握ができていなかったので、「資金繰表」を作成。
  • 本業を邪魔しないよう最低限の資金管理のみ。
  • 「入出金見込み」も入れ、突発的な資金ショートを防止。
  • 毎日15分は資金繰り表を作るように習慣づけ。

③業務量確保

  • スタッフの作業の役割分担を実施した上で、「高給の職人」はパートタイムに変更。
  • 役割分担に従い決まった仕事を割当て(例:低価格商品の制作、既存取引先との連絡等)、社長は高価格商品の制作、販路開拓、マーケティングに専念。
  • 足りない工数や仕事量が変動する業務は外注。
  • 業務の「ブラックボックス化」を防ぎ日々効率化できるように、マニュアルを作成して都度アップデート。

④販路拡大

  • SNS広告にかける工数を削減。
  • 既存の取引先(小売店)に同業者を紹介してもらい、「リアル店舗」での露出を増やす。
  • 難易度が高い「百貨店の催事場」等も含め、「商品を触ってもらえる」場所へのアプローチとブランディング。実際の販売はネット経由で。
  • 「財務」同様、取組みの効果を「見直し」する習慣をつけて、成功例と失敗例からの学びを強化。

【効果】

①「戦略的な考え方」による効率化

  • 「目先しなければならない」「今やりたいこと」にとらわれず、予め「するべきこと」「目標」を設定し、その達成に向けた「タスク」を設定。
  • 「本業への集中」と「ムダの削減」が可能に。

②意識の変化

  • 「良いモノを作る」だけではなく、「どのように顧客に届けるか」「どのように業務を継続するか」等、経営者意識を醸成。

③「コスト」意識による副次的効果

  • 低コスト商品のラインアップにより、採算改善の他に顧客層も拡大。認知度アップでマーケティング効果も。

④資金繰りの安定

  • 資金の出入りを可視化し、「その場しのぎ」の借入を削減。結果的に心配事も減って本業に集中する環境に。

⑤業務量確保とスタッフの成長

  • 役割分担、マニュアル化によってスタッフの業務の練度が向上。出来高制度も取入れることで意欲もアップ。

⑥マーケティングの明確化

  • 「プロモーション」と「販路」を区別することで、潜在的な顧客層の拡大を図りつつ売上を積上げ。

⑦定期的な「見直し」の習慣化

  • 資金繰りを毎日見直すほか、その他のタスクの見直し、フィードバックを習慣化することで成長が促進。